身体心理学が解明する笑いヨガの効果
オンラインと対面での調査から
【発表内容】
心理学は、心を科学的に明らかにしようとする学問です。
けれども、心のあり方は心や脳そのもののことだけで理解できるものではなく、
体の状態と密接に繋がっています。
興味のない授業を受けている時でも、少し無理に口角を上げて微笑みを作っていれば面白く感じたりしますし、背中の曲がった猫背の姿勢を続けていると、首や肩の凝りがたまるだけでなく、気分も憂鬱になってしまいます。
このように、身体とその動きが心のあり方を形作ると考えて研究を行っているのが「身体心理学」です。
伝統的なヨガや武道などの東洋的なボディワークは、稽古や修行などの身体に働きかける実践を通して、心と体が一体で分けられない「心身一如」や直感の境地を体得することを目指しています。
このような東洋的実践が心身にどのような効果を及ぼすか、またそのメカニズムをきちんとした研究によって明らかにし、化学的な根拠を与えることも、身体心理学の大切なテーマです。
このような、さまざまな東洋的な実践やそこで育まれる心身のあり方に特に焦点を当てた化学研究を、私は「東洋化学」と呼び、統合と調和の世界観にもとずいた学問を確率することを目指しています。
「無条件の笑い」やヨガの呼吸法を通して、身体的にも健康になることを目指す
「笑いヨガ」はまさに身体心理学、東洋化学の考え方を地でいく実践だと言えます。
私たちは、このような笑いヨガによる心理的効果について、数年間にわたって調査を続けてきました。
コロナ前の2018年〜2019年には、約75分間の対面の笑いヨガに参加することで、ポジティブ気分は増大、ネガティブ気分や状態不安は減少すること、初めて笑いヨガに参加してもそうした効果が見られること、また笑いヨガを継続的に実践している方では調和性などの望ましい性格傾向が高い事が明らかになりました。
また、2020年には、コロナ禍で笑いヨガもオンラインになったため、約30分間のZoomでのオンライン笑いヨガを対象に行いました。
その結果、オンラインでも対面の場合と同様に、望ましい心理的変化が見られることの証拠が得られました。
発表では、これらの研究結果について具体的なデータとともに紹介したいと思います。
発表者3
【プロフィール】
早稲田大学文学学術院教授。
専門 身体心理学 ソマステック心理学 東洋的心理論
1981年 奈良県生まれ 京都大学文学部・同大学院文学研究科後期課程終了。
2009年、博士(文学)
幼少期から昆虫採集や自然の中で遊ぶことが大好きで、中学高校時代は各地にチョウの採集に行った。
大学在学中から実験心理学を学び、大学院時代にかけて、ハトや幼児のプランニング(先読み)能力に関する実験研究に従事。
その後、西田幾多郎の哲学や鈴木大拙(スズキ ダイセツ)の仏教思想の影響を受けて、東洋的な世界観に基づく統合的、調和的な心の化学を志向し、速読法やヨガに関する研究を行った。
2017年に早稲田大学の「心身論」准教授に嘱任(ショクニン)、2019年より現職。
近年は、笑いヨガや武道、身体的なトラウマ治療、マインドフルネス瞑想など、心身統合についてのさまざまな実践に研究対象を拡げている。
学生時代に所属したサークルがきっかけで、リコーダーでバロック音楽を中心に演奏を続けている。
